「介護見守りシステムがあると聞くけれど、種類が多すぎて違いが分からない」。
多くの介護施設管理者が、この悩みを抱えているのではないでしょうか。
実際に導入した施設からも、補助金をきっかけに導入したものの、「本当にこの介護見守りシステムで良かったのか」「別の選択肢があったのではないか」といった声を聞くことがあります。
介護見守りシステムは、単なる機器導入ではなく、夜勤体制・人員配置・加算取得・コスト回収と密接に関わる重要なテーマです。
まずは、なぜ今これほど注目されているのか、その背景から整理します。
介護現場の人材不足と夜勤負担の増大
介護業界では慢性的な人材不足が続いており、特に夜勤業務は、
- 身体的・精神的負担が大きい
- 担当できる職員が限られる
- 離職理由になりやすい
といった課題を抱えています。
夜間帯は少人数で多くの利用者を見守る必要があるため、
「何か起きていないか不安で頻繁に巡回する」
という状況が、現場の負担をさらに増やしています。
こうした問題が、離職率の高さにつながっている背景もあります。
ICT・AIを活用した見守りの広がり
こうした課題を背景に、近年急速に導入が進んでいるのが、ICTやAIを活用した介護見守りシステムです。
- センサーで状態を把握
- 異変を検知して通知
- データを蓄積・分析
といった仕組みにより、人の目や経験に頼りすぎない見守りが可能になってきています。
介護見守りシステム導入が進む背景
介護見守りシステムが注目される背景には、
- 夜勤負担の軽減
- 事故・転倒リスクの低減
- ICT活用が評価される加算制度の拡充
といった制度・現場双方の要因があります。
特に近年は、
「見守りシステム=経営判断のひとつ」
として検討されるケースが増えています。
介護見守りシステムでできること
「介護見守りシステム」と一言で言っても、できることは多岐にわたります。
ここでは、一般的な介護見守りシステムで可能な機能を整理します。
心拍・呼吸・体動・睡眠状態の把握
多くの介護見守りシステムでは、
- 心拍数
- 呼吸数
- 体動の有無
- 睡眠状態
といった情報を非接触で取得できます。
これにより、
- 眠っているのか
- 起きて動いているのか
- いつもと違う状態ではないか
を、訪室せずに把握することが可能になります。
離床・転倒リスクの検知と通知
介護見守りシステムの大きな役割の一つが、離床や転倒リスクの早期検知です。
- ベッドから起き上がった
- 立ち上がり動作があった
- 一定時間動きがない
といった変化を検知し、スマホやPCに通知することで、必要なタイミングだけ駆けつける運用が可能になります。
スマホ・PCによるリアルタイムモニタリング
多くのシステムでは、
- ナースステーションのPC
- 夜勤者のスマートフォン
などから、リアルタイムに利用者の状態を確認できます。
これにより、
- 夜間巡回の効率化
- 少人数体制でも安心感のある夜勤
につながります。
介護見守りシステムの主なタイプ
介護見守りシステムは、仕組みによっていくつかのタイプに分かれます。
ここを理解しておかないと、「高いものを入れたけど合わなかった」という結果になりかねません。
非接触センサー型(ベッド下・マット下)
もっとも普及しているタイプが、ベッド下やマット下に設置する非接触センサー型です。
特徴
- 利用者が装着する必要がない
- プライバシーへの配慮がしやすい
- 導入しやすい
多くの施設で、最初の介護見守りシステム導入として選ばれています。
カメラ型見守りシステム
カメラを用いて見守るタイプのシステムです。
特徴
- 状況を映像で確認できる
- 事故・転倒時の状況把握が可能
- 家族説明や記録として使える
一方で、プライバシー配慮や運用ルールの整備が必須となります。
センサー+AI分析型システム
近年増えているのが、センサー情報をAIで分析するタイプです。
- 行動パターンの学習
- 異常の予兆検知
- データの可視化
といった高度な分析が可能ですが、コストや設定の複雑さも考慮する必要があります。
ここまでで、
- 見守りシステムが注目される背景
- できること
- 主なタイプ
の整理になります。
国内で導入されている主な介護見守りシステム一覧
介護見守りシステムは数多く存在し、「結局どれが良いのか分からない」という声が非常に多い分野です。
ここでは、国内で実際に導入実績のある代表的な見守りシステムを、特徴ベースで整理します。
※優劣をつけるものではなく、比較検討の材料としてご覧ください。
aams(バイタル・睡眠・AI分析)
aamsは、ベッド下に設置する非接触センサー型の見守りシステムです。
特徴
- 心拍・呼吸・体動・睡眠状態を取得
- AIによる状態分析
- 夜間の状態把握に強み
「夜勤帯の見守り負担軽減」を主目的とする施設で、多く導入されています。
バイタルプラス(データ蓄積・記録連携)
バイタルプラスは、見守りデータの蓄積・活用に強みを持つシステムです。
特徴
- 見守りデータの長期蓄積
- 記録ソフトとの連携
- 状態変化の可視化
「見守り+記録活用」まで考えたい施設に向いています。
Neos+Care(リアルタイム把握と履歴管理)
Neos+Careは、リアルタイム性と履歴管理のバランスが取れたシステムです。
特徴
- 現在の状態を直感的に確認
- 履歴データの確認が容易
- 夜勤帯の即時判断に有効
夜勤者が少ない施設でも、「今、誰がどの状態か」を把握しやすい設計になっています。
Aisleep(睡眠解析に強み)
Aisleepは、睡眠解析に特化した見守りシステムです。
特徴
- 睡眠の質や傾向を分析
- 長期的な生活リズム把握
- 生活改善への活用
夜間の見守りだけでなく、日中ケアの質向上にも活かしたい施設に向いています。
ミマモリ君WEB(WEB監視・通知)
ミマモリ君WEBは、比較的シンプルな構成の見守りシステムです。
特徴
- Webブラウザで状態確認
- 通知機能が分かりやすい
- 導入しやすい価格帯
初めて見守りシステムを導入する施設でも検討しやすい点が特徴です。
ピースAIセンサー(AI行動分析・録画対応)
ピースAIセンサーは、カメラ+AI分析を組み合わせたシステムです。
特徴
- 行動分析・転倒検知
- 映像記録による振り返り
- 事故対応・説明に強い
カメラ型のため、運用ルール・同意取得が非常に重要になります。
介護見守りシステムを比較する際のポイント
見守りシステムは、機能表だけを見ると似ているものが多く見えます。
比較の際は、自施設の課題に直結するポイントで整理することが重要です。
取得できるバイタル情報の種類
まず確認したいのが、
- 心拍・呼吸まで取れるか
- 体動・離床のみか
- 睡眠解析まで必要か
といった取得データの範囲です。
夜勤時の見守りが目的であれば、「最低限の情報で十分」というケースも多くあります。
AI分析・異常予兆検知の有無
AI分析機能は魅力的ですが、
- 本当に活用できるか
- 現場が理解できるか
を冷静に考える必要があります。
高度な分析=必ずしも現場に合うとは限りません。
リアルタイム通知・記録連携の可否
- 異変時にすぐ通知されるか
- スマホで確認できるか
- 記録ソフトと連携できるか
といった点も比較ポイントです。
ただし、記録連携は必須ではないケースも多いため、後の章で詳しく解説します。
現場目線で見た介護見守りシステムのメリット
導入を検討する際、カタログ上の機能よりも重要なのが、現場での実感値です。
ここでは、実際の介護現場で感じやすいメリットを整理します。
夜勤時の訪室回数削減による負担軽減
見守りシステム導入後、最も実感しやすい効果が夜間訪室回数の削減です。
- 何も起きていない部屋に行かなくてよい
- 必要な時だけ対応できる
これだけでも、夜勤者の負担は大きく変わります。
異変時にすぐ駆けつけられる安心感
- 離床
- 呼吸の乱れ
- 動きがない
といった異変をすぐ把握できるため、「気づけなかった」リスクを減らせる点も大きなメリットです。
職員・利用者双方の安全性向上
- 職員:無理な巡回・緊張感の軽減
- 利用者:過剰な訪室による睡眠妨害の減少
結果として、施設全体の安全性・安心感向上につながります。
ここまでで、
- 主要システムの整理
- 比較ポイント
- 現場メリット
を解説しました。
見守りシステム導入の「現実的なデメリット」
見守りシステムは多くのメリットがある一方で、「導入すればすべて解決する便利な機器」ではありません。
ここでは、実際に導入検討・運用の中で見えてくる現実的なデメリットや注意点を整理します。
日中帯は効果を感じにくいケース
見守りシステムの効果を最も実感しやすいのは夜勤帯です。
一方で、日中帯は職員数も多く、
- 目視確認ができる
- 声掛け・対応がすぐできる
といった理由から、「思ったほど効果を感じない」と感じる施設もあります。
そのため、夜勤負担軽減を主目的とするかどうかを明確にすることが重要です。
全床導入が前提となるコスト問題
多くの見守りシステムは、
- 居室単位
- ベッド単位
での導入が前提となります。
一部の部屋だけに導入すると、
- 運用が複雑になる
- 職員が混乱する
といった問題が起きやすく、結果的に全床導入を求められるケースが少なくありません。
そのため、初期費用・ランニングコストを施設規模全体で把握する視点が欠かせません。
機能差はあるが「基本は似ている」実情
各メーカーは、AI分析や独自アルゴリズムなどの高度な機能を強調する傾向がありますが、「夜間の異変に気づく」という基本的な役割については、大きな差がないケースも少なくありません。
そのため、
- 機能の多さ
- カタログスペック
だけで判断すると、コストに見合わない導入になりやすい点には注意が必要です。
カメラ型見守りシステムの活用と注意点
カメラ型見守りシステムは、他のタイプとは異なる強みを持っています。
一方で、導入には慎重な検討が必要です。
転倒・事故時の状況把握と記録
カメラ型の最大のメリットは、
- 転倒
- 事故
- ヒヤリハット
の状況を映像で確認できる点です。
これにより、
- 原因分析
- 再発防止
- 職員間の共有
がしやすくなります。
これらは介護サービスの質向上に直接つながるため、有効活用していきましょう。
家族への説明・トラブル防止への活用
事故やトラブルが発生した際、
- 口頭説明だけでは伝わらない
- 誤解が生じやすい
といった場面があります。
映像があることで、
- 事実関係の共有
- 不必要なトラブル回避
につながるケースもあります。
プライバシー・個人情報への配慮
一方で、カメラ型導入では、
- 利用者・家族の同意
- 撮影範囲の限定
- データ管理ルール
など、慎重な運用設計が必須です。
現場の負担が増えないようにする、また、利用者のプライバシーを尊重するよう、導入前のルール整備が欠かせません。
夜勤体制と介護見守りシステムの関係
介護見守りシステム導入を検討する際、多くの管理者が気にするのが「夜勤体制や加算との関係」です。
ここでは制度面との関係を整理します。
夜勤職員配置基準緩和の考え方
介護見守りシステムの導入により、
- 夜間の見守り体制が強化される
- 安全性が担保される
と判断されれば、夜勤職員配置の考え方に影響を与える可能性があります。
ただし、単純に「人を減らせる」という話ではなく、安全確保が前提となります。
夜勤職員配置加算との関係
夜勤職員配置加算では、
- 人員配置
- 夜間の見守り体制
が評価対象となります。
介護見守りシステムは、夜勤体制を補完するICTとして位置づけられ、体制整備の説明材料として活用されるケースがあります。
人員配置とICT活用のバランス
重要なのは、
- ICTで代替できる部分
- 人が必ず必要な部分
を切り分けることです。
介護見守りシステムは、夜勤職員の「目」と「気づき」を支援するものであり、完全に置き換えるものではありません。
ここまでで、
- デメリット
- カメラ型の注意点
- 夜勤体制・加算との関係
を解説しました。
介護見守りシステム導入でコストは回収できるのか
介護見守りシステムを検討する際、避けて通れないのが「結局、費用は回収できるのか?」という視点です。
ここでは、導入コスト・加算・人件費の観点から、現実的な考え方を整理します。
導入コスト・維持コストの考え方
介護見守りシステムには、
- 初期導入費用(機器・設置)
- 月額利用料
- 保守・通信費
といったコストが発生します。
重要なのは、「1床あたり」「1か月あたり」で分解して考えることです。
施設全体の金額だけを見ると高額に感じますが、夜勤体制や人件費と並べて整理すると、判断しやすくなります。
夜勤職員配置加算による回収可能性
介護見守りシステムは、夜勤職員配置加算との相性が良いICTの一つです。
- 夜間の見守り体制を強化
- 安全性を担保
- ICT活用による体制整備の説明
といった点から、加算取得を後押しする材料になります。
加算による収入増を、介護見守りシステムのランニングコストに充てることで、実質的な負担を抑えられるケースもあります。
長期的に見た人件費・離職防止効果
短期的な収支だけでなく、
- 夜勤負担軽減
- 働きやすさ向上
- 離職防止
といった長期的な人件費への影響も重要です。
夜勤が原因での離職を一人でも防げれば、採用・教育コストを考えると、介護見守りシステムは十分に回収可能と言える場合もあります。
介護記録ソフトとの連携は必要か
介護見守りシステムを検討すると、必ずと言っていいほど提案されるのが「介護記録ソフトとの連携」です。
本当に必要なのか、ケース別に整理します。
記録連携が有効なケース
以下のような施設では、記録連携が効果を発揮しやすいです。
- 夜間対応の記録が多い
- データをケア計画に活かしたい
- 状態変化を数値で示したい
見守りデータを記録に反映することで、客観性のある記録につながります。
連携しなくても問題ないケース
一方で、
- 見守りは「通知」が目的
- 記録は最低限でよい
- 現場負担を増やしたくない
という施設では、無理に連携しなくても問題ありません。
「連携できる=連携すべき」ではない点が重要です。
現場負担を増やさないための判断基準
判断の基準は、
- 記録が増えて楽になるか
- 業務が複雑にならないか
です。
現場が楽になるかどうかを軸に、連携の要否を決めましょう。
介護見守りシステム導入時の注意点
最後に、介護見守りシステム導入を成功させるために、事前に押さえておきたい注意点を整理します。
ネットワーク・Wi-Fi環境の整備
介護見守りシステムは、
- 安定したWi-Fi
- 通信環境
が前提となります。
導入前に、
- 電波が届くか
- 回線が混雑しないか
を必ず確認しましょう。
職員への説明・教育の重要性
どんなに良いシステムでも、職員が使いこなせなければ意味がありません。
- なぜ導入するのか
- 何が楽になるのか
を丁寧に説明し、現場の納得感を高めることが定着のカギです。
現場を巻き込んだ検討プロセス
導入を決める前から、
- 夜勤職員
- リーダー層
を巻き込むことで、
- 現場に合った選定
- 運用イメージの共有
がしやすくなります。
ここまでで、
- コスト回収
- 記録連携
- 導入時の注意点
を解説しました。
介護見守りシステムは「何を目的に導入するか」が重要
介護見守りシステムは種類も機能も多く、「全部入り」を選びたくなりがちです。
しかし、最も重要なのは目的を明確にしたうえで導入することです。
ここでは、導入検討時によくある疑問に答えながら整理します。
全部の機能を使わないと意味がない?
結論から言うと、すべての機能を使う必要はありません。
多くの施設では、
- 夜間の異変に気づける
- 必要な時にすぐ駆けつけられる
この2点が満たされれば、導入目的は十分に達成されています。
高度なAI分析や詳細なデータ活用は、運用が軌道に乗ってから検討しても遅くありません。
小規模施設でも導入効果はある?
はい、小規模施設でも効果は十分にあります。
むしろ、
- 夜勤職員が少ない
- 一人夜勤の負担が大きい
といった施設ほど、介護見守りシステムの恩恵を感じやすい傾向があります。
施設規模よりも、夜勤負担やリスクの大きさで判断することが重要です。
どこから導入を検討すべき?
導入検討の第一歩は、「今、何が一番困っているか」を整理することです。
- 夜勤の巡回がつらい
- 転倒リスクが高い
- 職員の不安が大きい
この課題が明確になれば、必要な介護見守りシステムの方向性も自然と見えてきます。
介護現場に合った介護見守りシステム導入を考えよう
介護見守りシステムは、単なるICT機器ではなく、夜勤体制・人員配置・安全管理・経営判断に関わる重要なツールです。
最後に、導入判断のポイントをまとめます。
システム選定より先に課題整理を
「どのシステムが良いか」を考える前に、
- 何を解決したいのか
- どの時間帯が一番大変か
を整理しましょう。
課題が明確になれば、選ぶべきシステムは自然と絞られます。
夜勤負担軽減・安全確保をどう実現するか
介護見守りシステム導入の本質は、
- 職員の負担を減らす
- 利用者の安全を守る
この両立にあります。
ICTは人を減らすためではなく、人を守るための仕組みとして活用することが重要です。
介護見守りシステム導入の相談案内(行動喚起)
介護見守りシステムは、
- 種類が多く分かりにくい
- コストが不安
- 加算や夜勤体制との関係が気になる
と、一人で判断するには難しいテーマです。
介護現場とICTの両方に関わってきた立場から、
- 課題整理
- システム比較の考え方
- 導入・運用の進め方
まで、現場目線で整理するお手伝いができます。
まだ検討段階という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

