ゲーム実況は、動画配信の中でも最も人気が高く、参入者も多いジャンルです。
世界的にはTwitch、日本国内ではYouTubeを中心に市場が拡大し、副業として挑戦する人も急増しています。
ただし「ゲーム実況はどんなタイトルが伸びやすいのか」「機材やPCはどの程度必要か」「配信ソフトの設定はどうすればいいか」「収益化まではどのくらいかかるのか」など、最初の壁も多く存在します。
本記事では、これから実況を始める初心者から中級者までに向けて、ゲームジャンルの選び方、機材構成、OBS Studioの設定、人気配信者の成功事例、収益化までの具体的なロードマップを解説します。
ゲーム実況が副業として注目される理由
ゲーム実況は、他のジャンルに比べて視聴者層が広く、初心者から上級者まで楽しめることが大きな魅力です。
さらに、ゲーム自体がコンテンツの中心になるため「話題作やアップデートによって一気に注目される」という特徴があります。
そのため、投稿ネタが尽きることは基本ありません。
また、実況者自身のスキルやキャラクターが際立ちやすく、他ジャンルよりも「個性」と「コミュニティ」が収益に直結しやすい副業でもあります。
ゲーム実況可能な端末と特徴
実況を始めるとき、まず「どの端末で配信できるか」を理解する必要があります。
端末 | 配信方法 | 必要な追加機材 | 強み | 弱み |
---|---|---|---|---|
スマホ | YouTube/TikTokアプリから直接配信 | 基本不要(外付けマイク推奨) | 手軽でコストが低い | 発熱・バッテリー消耗が早い |
Nintendo Switch | キャプチャーボード+PC+OBS | キャプチャーボード、配信PC | 人気タイトル多数 | 単体では配信不可 |
Nintendo Switch 2 | 内蔵配信機能またはPC経由 | 内蔵なら不要、PCならキャプチャーボード | 次世代性能 今後の需要が高い | 作品がまだ少ない |
PC | OBS StudioやStreamlabsで直接配信 | マイク、Webカメラ、必要ならキャプチャボード | 自由度・拡張性が最も高い | 高性能PCが必要 |
PlayStation 5 | 内蔵ブロードキャスト機能 | 外付けマイク推奨 | 単体で高画質配信が可能 | カスタマイズ性が低い |
ひとつに絞らず、複数の端末を持っていると様々な話題作を扱うことができます。
これまでの人気タイトルやeスポーツ大会のことなどを考えると、やはりメインとする端末はPCがおすすめです。
ゲーム実況の主要ジャンルと代表作
ゲーム実況はジャンルごとに視聴者層や魅力が異なります。
以下の表にまとめます。
ジャンル | 特徴 | 代表作 |
---|---|---|
FPS | 高い反射神経、戦術理解、撃ち合いのスリル | Apex Legends、VALORANT、Call of Duty |
バトルロイヤル | ラスト1人まで生き残る緊張感 | Fortnite、PUBG |
格闘ゲーム | 対戦の読み合いやコンボ解説 | ストリートファイター6、鉄拳8、スマブラ |
RPG | ストーリー重視、初見プレイや考察 | ドラクエ、FF、ゼルダ |
アクションRPG | 戦闘の爽快感+物語性 | モンハン、ダークソウル、原神 |
協力系 | 仲間と連携しクリアを目指す | Among Us、It Takes Two |
育成・経営 | 成長や改善を見せる過程 | The Sims、牧場物語、Stardew Valley |
シミュレーション | 街づくりや戦略を実況 | Cities: Skylines、Civilization |
サンドボックス | 自由な発想で制作や冒険 | Minecraft、Terraria |
ホラー | 驚きのリアクションが人気 | バイオハザード、Phasmophobia |
パーティー系 | 多人数で盛り上がる | Fall Guys、マリオパーティー |
このように、ゲーム実況は「自分の得意分野」と「盛り上げやすさ」で選ぶことが重要です。
ただ、得意分野だけをこなすのではなく、苦手分野に挑戦するというコンテンツも視聴者を飽きさせず、また、上達するプロセスは視聴者の共感を得られやすいため、積極的に挑戦していきましょう。
ゲーム実況に必要な環境と機材
PC性能(初心者・ミドル・上級者の区分)
プレイヤー層 | CPU | GPU | メモリ | ストレージ | 価格帯 |
---|---|---|---|---|---|
初心者 | Intel i5 / Ryzen 5 | GTX1660〜RTX3050 | 16GB | SSD 512GB | 12〜15万円 |
ミドル | Intel i7 / Ryzen 7 | RTX3060〜3070 | 16〜32GB | SSD 1TB | 18〜25万円 |
上級者 | Intel i9 / Ryzen 9 | RTX3080以上 | 32GB以上 | SSD 1TB+HDD 2TB | 30万円〜 |
初めての場合、初心者クラス、またはミドルクラスの性能を揃えましょう。
スキルがあって、結果を出す必要がある場合は、上級者クラスのPCが必要となりますが、楽しんだり、遊んだりする分にはミドルクラスの性能があれば十分です。
※家庭用ゲーム機(PS5, Switchなど)はキャプチャーボード必須です。
必須機材と追加機材
ゲーム実況を始める際には、最低限必要な機材と、配信の質をさらに高める追加機材があります。
以下の表に、代表的な機材とその価格帯をまとめました。
機材 | 役割 | 価格帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
マイク(USBコンデンサーマイク) | ゲーム音よりもクリアに声を届けるために必須 | 5,000円〜1万円 | USB接続で簡単。初心者は「FIFINE」や「Blue Snowball」などが扱いやすい |
キャプチャーボード | 家庭用ゲーム機の映像をPCに取り込むための機材 | 15,000円前後 | 代表的な製品は「Elgato HD60 S」 SwitchやPS5の実況に必須 |
オーディオインターフェース | マイク音質の向上、複数音源の管理に便利 | 1〜2万円 | 配信を本格化させたい中級者以上に推奨 |
Webカメラ | 顔出しや手元カメラ用 | 1万円前後 | 「Logicool C920n」など定番モデルが人気 |
照明・グリーンバック | 顔映りや背景を整える | 5,000円〜1万円 | リングライトは導入しやすく、グリーンバックは背景合成に便利 |
初心者は「マイク」と「キャプチャーボード(家庭用機を使う場合)」だけでも十分に始められます。
収益化やファンの固定化を目指す段階で、オーディオインターフェースや照明を追加導入すると配信の完成度が高まります。
こちらも最初のうちは、最低限の機材で運用していき、必要となったら新たに機材を購入していくことをおすすめします。
副業で大切なことのひとつは、初期投資をどれだけ抑えられるかです。
ローコストローリターンから始めていき、継続して少しずつ結果が出始めて、安定し始めたら、ステップアップしていきましょう。
OBS Studioの詳細解説
ゲーム実況者のほとんどが利用しているのが「OBS Studio」です。
無料でありながら高性能で、配信の見栄えや安定性を大きく左右します。主な機能は以下の通りです。
機能 | 解説 | 利用のポイント |
---|---|---|
シーンとソース | 配信画面を「待機画面」「ゲーム中」「エンディング」など複数作成できる | ソースにはゲーム映像・マイク音声・カメラ・テキスト・画像を組み合わせられる |
音声ミキサー | マイクとゲーム音の音量バランスを調整 | 目安は「声3割:ゲーム音7割」。声が埋もれないよう注意 |
エンコード設定 | 配信の画質や滑らかさを決定する | 推奨は「6000kbps」「1920×1080」「60fps」。RPGなどは30fpsでも可 |
録画機能 | 配信と同時に映像を保存できる | 切り抜き作成に必須。形式はMP4で保存すると編集ソフトで扱いやすい |
プラグイン拡張 | 機能を追加して演出を強化できる | 「StreamElements」を導入すれば投げ銭アラートやコメント表示が可能 |
OBSはシンプルに使い始められる一方で、拡張次第でプロ配信者並みの演出が可能です。
初心者はまず「シーンの切り替え」と「音量バランスの調整」に慣れることを目標にしましょう。
こういったツールはとにかく触って経験することで使い慣れてきますので、苦手意識のある方も情報サイトやChatGPTなどを用いて慣れるようにしていきましょう。
著作権・利用規約(実況特有の注意点)
ゲーム実況は「自分で遊ぶ」だけでなく「第三者が見るコンテンツ」となるため、著作権や利用規約の確認は必須です。
違反すると収益化停止やアカウント削除のリスクがあるため、以下の点を押さえておきましょう。
配信ガイドラインの確認
各メーカーが「実況配信は収益化可能」などのガイドラインを公開しています。
任天堂は個人配信者に対して包括的な許諾を出していますが、スクウェア・エニックスやカプコンなどは作品ごとに条件が異なります。
必ず公式ページを確認しましょう。
ネタバレ区間の扱い
ストーリーが重視されるRPGでは「配信禁止区間」が設定されていることがあります。
その場合は告知を入れた上で配信を控える必要があります。
音楽・BGMの利用
ゲーム内音源は基本的にOKですが、外部の楽曲や市販CD音源は利用不可です。
フリー音源やライセンス済みのBGMを使用しましょう。
切り抜き動画のルール
自分の配信を切り抜く場合は自由ですが、他人の配信を切り抜く場合は許可が必要です。
また、切り抜きを許可している配信者でも収益化の可否を明記しているため確認必須です。
人気実況者から学ぶ成功のポイント
だるまいずごっど(Crazy Raccoon)
元Fortniteプロゲーマーで、当時アジア1位の実力を誇りました。
その経験を活かし、Apex LegendsやVALORANTでも実力を展開してきました。
だるまさんの魅力は高いゲームスキルとともに、「視聴者を巻き込むテンションの高いトーク」「ゲーム中のコミカルなリアクション」「仲間との息の合った掛け合い」にあります。
特に、ありさかさんとのコンビ「だるさか」は人気で、その掛け合いが視聴者に笑いと安心感を与えています。
配信休止中もSNSやイベント、他配信者の配信で生存確認が行われ、復帰配信時には多くの視聴者が集まるなど、継続的なファン・コミュニティ形成にも成功しています。
SHAKA(ZETA DIVISION)
元AVAプロゲーマーで、18回大会優勝・日本代表として世界大会に4年連続出場という経歴を持つストリーマーです。
Twitchでの配信視聴時間は国内トップで、2023年には世界ランキング1位を獲得するほどの人気です。
「LEGENDUS」という大型イベントシリーズを発案・主催し、プロゲーマーを超えた存在感を示しています。
2025年にCREATOR部門としてZETA DIVISIONに加入しました。
葛葉(にじさんじ)
にじさんじに所属する男性VTuberの代表で、2025年6月にはYouTubeチャンネル登録者数200万人を突破しました。
男性VTuberとして初だけでなく、にじさんじとしても初の偉業です。
その魅力は圧倒的トーク力と語彙センスにあります。
コメントや配信中の状況に対し即興で独特な返しをする柔軟さと面白さがあり、「パンチライン」のような名台詞が多数生まれることでも知られます。
また、彼自身もVTuberとしての運営戦略を語り、「人気を目指すなら事務所所属が有利」とリアルな視点で語っています。
K4sen(ZETA DIVISION)
Call of Duty競技シーンのキャスター出身で、映像ディレクターとしてのバックグラウンドも持つ多才なクリエイターです。
昨今はLoLやVALORANTなどを横断した配信企画・大型イベントの主催/ホストとして存在感が大きく、「League The k4sen(Riot GamesサポートのLoLストリーマー選手権)」の開催・司会進行など、「見せ場の設計」と「場づくり」でコミュニティを牽引しています。
ZETA公式のメンバーページでもCREATORとして紹介され、TwitchやYouTubeでの配信に加え、イベント運営・演出面の影響力が特徴です。
人気実況者に共通するポイント
人気実況者にはさまざまなスタイルがありますが、共通して「成功につながる要素」が見えてきます。
単にゲームが上手いだけではなく、以下のような具体的な特徴や工夫を持っています。
1. 自分だけのキャラクター性を確立している
人気配信者は、それぞれ「この人といえばコレ」という明確な個性を持っています。
- だるまいずごっど → 関西ノリのテンポあるトークとお祭り的な雰囲気づくり
- SHAKA → 落ち着いた解説と安定感のある長時間配信
- 葛葉 → コメントの拾いとワードセンスで独特の世界観
- k4sen → 企画力と進行力で“場”をデザインする存在
単にプレイスタイルが上手いのではなく、「視聴者がこの人を見たい理由」が一言で語れるようになっているのが特徴です。
2. ゲームを知らない視聴者も楽しめる魅力
人気実況者は、プレイしているゲームを知らなくても楽しめる「トークの面白さ」を持っています。
例えば だるまいずごっどさんは、関西ノリの軽快なツッコミや独特のテンポでゲームの緊張感を笑いに変え、ただの撃ち合いシーンも漫才のように見せてしまいます。
SHAKAさんは落ち着いた語り口で、長時間の配信中でも冗談を交えながら視聴者をリラックスさせ、ゲームを知らなくても会話を聞いているだけで心地よく感じさせます。
葛葉さんはコメントや状況を独特の言葉選びで料理し、短いやり取りから次々に笑いを生み出すため、視聴者は“どんな言葉が飛び出すか”を期待して視聴を続けます。
k4senさんはイベント進行のプロとして、その場にいる出演者をいじりながら場を盛り上げ、まるでバラエティ番組のMCを見ているかのような楽しさを提供します。
このように、人気実況者は「ゲームスキル」だけでなく「会話のテンポや言葉の選び方」でより魅せる力を持っているため、ゲームをまったく知らない人でも自然と笑ってしまい、配信を最後まで見てしまうのです。
3. 切り抜きやSNSで拡散される瞬間を作っている
人気実況者は意識的に「短いクリップでも面白い場面」を生み出します。
葛葉さんがコメントを即座に拾って笑いに変えるのはその典型で、切り抜き動画がSNSでバズりやすくなります。
だるまいずごっどさんの配信者さんとの絡みや、SHAKAさんのトークも、短い時間でも面白いコンテンツになるため、切り取って共有されやすい要素です。
「配信を全部見てもらう」のではなく「切り抜きから入ってファンになる」導線が確立しています。
収益化ロードマップ(2年間)
期間 | 行動 | 目標 |
---|---|---|
0〜3ヶ月(準備・習慣化) | 配信環境を整え、週1〜2回の定期配信を習慣化。 SNS(XやTikTok)で告知を開始。 | 登録者50人、平均同時視聴3人 |
3〜6ヶ月(基盤づくり) | 人気ジャンルでシリーズ企画を継続。 切り抜き動画やショートを週1本公開。 | 登録者150人、同時視聴5人 |
6〜9ヶ月(露出拡大) | 小規模コラボに参加。 SNSでのハイライトクリップ拡散を強化。 | 登録者300人、同時視聴10人 |
9〜12ヶ月(安定化) | 配信スケジュールを固定し、視聴習慣をつける。 イベント(大会や耐久企画)を実施。 | 登録者500人、同時視聴15人 |
1年〜1年3ヶ月(初収益化ライン) | YouTube収益化条件(1000人+4000時間)を意識。 Twitchならアフィリエイト条件突破を目指す。 | 登録者700人、同時視聴20人 |
1年3ヶ月〜1年6ヶ月(収益開始) | サブスク・投げ銭が少しずつ入る段階。 配信内容を「学べる」「楽しめる」両輪に強化。 | 登録者850人、同時視聴25人 |
1年6ヶ月〜2年(成長定着期) | コラボや大会に積極参加。 企画力を伸ばし、切り抜き・SNS展開で新規層を取り込む。 | 登録者1000人、同時視聴30人 |
まとめ
ゲーム実況は、機材やソフトのハードルがある一方で、安定した需要と収益化の可能性があります。
端末ごとの強みを理解し、自分に合った環境で始めることが大切です。
人気配信者に共通するのは「個性」「安定感」であり、2年計画で取り組めば副業として十分な成果を期待できます。
配信者は自分が経験してきたことを活かすことができます。
ご自身の経験をベースにし、失敗と成功を繰り返して、ご自身と視聴者と少しずつ成長していくことが配信者のやりがいだと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. ゲームが下手でも実況できますか?
A. 十分可能です。「下手だけど楽しむ姿」が魅力になることも多いです。
Q2. 初期費用はどれくらい?
A. PC配信は15〜25万円、家庭用機+キャプチャーボードは15万円前後。
Q3. OBS以外は使える?
A. StreamlabsやXSplitがありますが、OBSが最も一般的です。
Q4. 伸びないときは?
A. サムネやタイトルを工夫し、切り抜きやショートで拡散しましょう。
Q5. 顔出しは必要?
A. 必要ありません。声だけ、Vtuber形式でも成功事例は多数あります。